FM音源は周波数変調? 位相変調?

実は、前の記事では周波数変調と位相変調の違いについてごまかしていた。そのことでよく分からないことがあるので、書いておきたいと思う。

先のFM講座の説明は、実際は周波数変調でなく位相変調の説明になっている。この違いは「反転歪み」現象の説明とは関係がないので、前の記事ではFM講座で説明されているのと同じ図を使って説明したが、周波数変調と位相変調は違うし、この違いがはっきりしないとFM音源を作ることができなくて困る。別のページ(シンセサイザー研究室)でも、FM音源の仕組みが位相変調の説明になっている。

位相変調は、搬送波の位相\omega_c t + \phi_cにモジュレーターの信号m(t)で変調を掛けて位相が\omega_c t + \phi_c + m(t)になるから、変調信号は
y(t) = C \sin (\omega_c t + m(t) + \phi_c)
となる。
一方、周波数変調の場合は、搬送波の角周波数\omega_cにモジュレーターの信号m(t)で変調を掛けて角周波数が\omega_c + m(t)になる。角周波数を時間で積分すれば位相になるから、変調信号は
y(t) = C \sin (\omega_c t + \int_{0}^{t} m(\tau) d\tau + \phi_c)
となる。

m(t)が正弦波であれば、積分しても位相と振幅が変わるだけで正弦波であることには変わりない。前の記事ではモジュレーターがひとつの場合だけをやったから、周波数変調と位相変調の違いを無視していた。しかし、モジュレーターの信号が正弦波でない場合には、積分によって別の波形に変わってしまうから、周波数変調か位相変調かの違いは重大だ。

FM音源は周波数変調と位相変調のどちらなのだろうか?

wikipedia:周波数変調
wikipedia:位相変調