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闇 Advent Calendar 2013 12日目の記事です。】

夜の闇は、子供だった私にとって大切な時間だった。現実から逃れ、孤独のなか、重たい頭で空想に耽るのだ。夜を死の時間と仮定してみる。人は夜ごとに死ぬのだ。夜の死んだ私は昼の生きた私から離脱し、宇宙と接続した。子供のころの私はずっと多くの世界を知っていた。私の意識は未来までをも貫き、そこに希望と不安を見出していた。

望みも叶わぬままに死んでしまった昔の私。ここにいる私は抜け殻であって、彼が到達できなかった時間を生きている。昔見た夢の続きを見ることは叶わないのだろうか?

振り返れば、子供の頃の私は嫉妬深い性質であった。とにかく人の持ち物を欲しがっていて、それでいて自分の持ち物には鈍感であった。周囲の人間は意地悪しているので、自分にものを与えてくれないのだと信じ込んでいた。後に、傲慢は卑屈に転ずる。自分には何事も成し遂げることができないのだという観念に取り憑かれた。脆弱な心は不安で押しつぶされた。揺さぶられた心情は、夜の闇が包んでくれた。

大人になった私は夜も昼の連続として、自己の同一性を保ったままであり続け、肉体は、眠っている時でさえ私をこの世界に縛りつける。今を漫然と生きている小康状態の私は、また昔のような激しい感情を持つことを拒絶しながらも、闇へのあこがれを残している。いつまた闇に引きずり込まれるかもしれないが、闇を持ちながら生きていきたい。

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