概念をフォローする

概念をフォローする

本質的に、わたしたちは概念をフォローしたいのである。

あなたがツイッターで、その人をフォローする理由はなんだろうか。その人自身が本当に好きなのだろうか。単に、好みの記事や、写真や、動画をRTしてくれるから、ではないだろうか。実際に、おもしろ動画botのようなものがあり、それをフォローする人間はたくさんいる。

人間ではなく、概念をフォローするには、どうすればいいだろうか。たとえば、ハッシュタグを追うこともできる。ハッシュタグは、すなわち直に概念に結びついた記号だ。しかし、今のツイッターは、話題を検索することはできても、ハッシュタグを直接フォローすることはできない。

ハッシュタグは、書き手が恣意的に設定しなければならないという点で、ウェブページに設定されたキーワードと同じような、簡易な仕組みだ。それは、機械が直接文章から概念を抽出することができない、あるいは抽出するコストが高いということが前提にある。しかし、わたしたちは現に文章から概念を抽出している。それは、全文検索 Full Text Search という技術がやっていることだ。

全文検索システムは、その名からは想像が付きづらいが、直接文字列を検索するのではない。そうではなく、文章を「語」ごとに分割し、語によってデータの転置操作を行い、索引を作成する。そうすることで、語が与えられると、効率的に、語に結びついた文章を引いてくることができる。そして、語はやはり概念に結びついた記号である。つまり、全文検索を実現する段階で、わたしたちは文章から概念を抽出しているのである。

わたしたちは文章からある程度の精度で概念を抽出する技術を持っているのだが、本来は概念をフォローすることができてもおかしくないのだが、そうはなっていない。わたしたちは概念をフォローするのではなく、ボットをフォローしている。しかし、検索システムは任意のフレーズで自由に検索できるのに対し、ボットは限られた概念しかRTをしてくれない。これは非常に不自由なことだ。人間は有限だが、概念は無限だという問題がある。

分散概念検索システム

わたしたちは、分散SNS上で、概念のフォローを実装できるかもしれない。ActivityPubで、人間のかわりに、概念をフォローできる仕組みが作れるはずだ。インスタンスは、各個人のoutboxの公開アクティビティーから概念を抽出し、概念のoutboxに入れる。この概念のoutboxを、フォローできるようにすればよい。また、概念のoutboxそれ自体が転置インデックスの役割を果たし、インスタンスに対する全文検索機能を提供する。概念のoutboxは仮想的に無限に存在するが、その無限のoutboxを一括でフォローする仕組みがあれば、作成された転置インデックスを他のインスタンスに転送することもできる。もちろん、興味がある概念だけをフォローしてもよい。

個人は特定のインスタンスにしか存在しないが、概念はあらゆるインスタンスに存在する。そこで、上の考えの発展として、概念のフォローは、インスタンスを特定しない形式によるフォローができることが望まれる。インスタンスを特定せず、すべてのインスタンスの特定の概念をフォローできるようにする、あるいは、概念のフォローに関する情報を、連合インスタンス全体に伝播させる仕組みがあれば、わたしたちは、透過的に、純粋な概念をフォローすることができる。

人間やボットを介せず、純粋な概念によって構成されたタイムラインを、わたしは見てみたい。

TopShell: シェル再考

GitHubのExplore repositoriesにたまたま表示されていた TopShell が気になったので、ここで紹介する。

github.com

TopShell開発の動機は TopShell: Reimagined Terminal and Shell · topshell-language/topshell Wiki · GitHub に書いてあるが、要点をまとめると「古典的なUnixシェルを使うのはつらい。いいところだけを抜き出して、全くシェルを考えたら、どうなるだろうか?」ということらしい。

  • Unixシェルのだめなところ
    • 未定義の変数を使ってもエラーにならない【デフォルトで。set -u を使えばエラーになる。】
    • コマンドがエラーになってもスルーされる【デフォルトで。set -e とか set -opipefail を使えばエラー時に中断される。】
    • 全部のデータが文字列
      • sedawk の不思議なコードを覚えないといけない
      • 不完全なパーサーを書いて処理することになる
  • Unixシェルのいいところ
    • システムへの実用的でインタラクティブなインターフェースを提供している
    • パイプを使ってコマンドを合成することで、素早く問題を解決できる
  • TopShell
    • 純粋計算と作用(副作用)を分離する純粋関数型プログラミング
    • モダンな型システム
    • 細かいコード断片を書けば、直ちに評価され、結果を見ることができる
      • 結果はテキストのみならず、画像でもアニメーションでもよい
    • 非同期タスクとリアクティブ ストリームによるプログラムの合成
    • これらを努力なしに使うことができる環境

理屈はともかく、TopShellはブラウザから使うことができる。次のリンクからプレイグラウンドを開いて、試してみよう。

http://show.ahnfelt.net/topshell/

https://github.com/topshell-language/topshell#http-example のサンプルコードを画面左側のエディタに入力すると、直ちに評価結果が右側に表示される。といっても、副作用が発生するタスクやストリーム(バインド文 x <- e で宣言されているもの)は、行にカーソルをあわせて Ctrl + Enter で1文ずつ実行するか、実行ボタンを押すまでは実行されない。感覚的には、シェルというより Jupyter Notebook に近い気もする。

json <- Http.fetchJson {url: "https://reqres.in/api/users?page=2"}

people : List {id: Int, "first_name": String, "last_name": String, avatar: String} = 
    Json.toAny json.data

htmlImage = url -> Html.tag "img" [Html.attributes ["src" ~> url]]

peopleWithImages = people |> List.map (
    p -> {image: htmlImage p.avatar, name: p."first_name" + " " + p."last_name"}
)

peopleWithImages |> View.table

f:id:mandel59:20190902225844p:plain
HTTP example

f:id:mandel59:20190902230537p:plain
HTTP exampleの実行結果

ストリームのサンプルとして https://github.com/topshell-language/topshell#stream-example も試してみよう。この例では、時計のアニメーションが動く。

言語仕様についてはまた今度書く。