キー番号と調号の決定に関するメモ
MIDIのノート番号は音のピッチ(音高)を表現している。ノート番号0はC-1の音を表していて、番号が1増えると、音高は半音上がる。
このような、ピッチを使った音の表記は、しかし、キーを表現することができないという問題がある。ノート番号はピッチを表現しているため、異名同音のD♯、E♭、F𝄫を区別することはできない。
そこで、ここではピッチではなく、キーに対して番号を振る方法を考えてみる。五度圏を考えると、キーは次のように並んでいる:
... A𝄫 E𝄫 B𝄫 F♭ C♭ G♭ D♭ A♭ E♭ B♭ F C G D A E B F♯ C♯ G♯ D♯ A♯ E♯ B♯ F𝄪 C𝄪 G𝄪 ...
そこで、五度圏に並んだ順で、音名Cのキー番号を0とし、そこから完全5度上昇するごとに番号を1ずつ増やしたものを、キー番号とする。
ノート番号とキー番号の関係
オクターブの差や異名同音を無視して考えると、キー番号が1増えれば、音高は完全五度上昇、すなわち、7半音上昇する。逆に、音高が半音上昇すれば、キー番号は7増える。そして、ノート番号もキー番号も、12増えた場合は同音になる。
C-1 のノート番号・キー番号がそれぞれ0となるように定めたので、ある音のノート番号とキー番号の間には
の関係があることになる。
調号の決定
五度圏を使ってキー番号を定義したことからも分かるが、キー番号は調号と直接的に対応している。長調においては、主音のキー番号が、そのまま調号におけるシャープ記号の数となる。(負数の場合は、フラット記号を付ける。)また、Aのキー番号が3であることから、短調では主音のキー番号から3を引けばシャープ記号の数になることがわかる。
調号の変化記号(シャープ記号またはフラット記号)の数は最大で7個なので、長調においては主音のキー番号をとなるように定める必要がある。同様に、短調においては主音のキー番号をの範囲で定める必要がある。従って、の場合(主音がC♭, G♭, D♭の場合)は長調に対して同主短調が記法上存在せず、の場合(主音がG♯, D♯, A♯の場合)は短調に対して同主長調が記法上存在しない。
このことから、同主調を必要とするならば、キー番号はの範囲にある12個(A♭, E♭, B♭, F, C, G, D, A, E, B, F♯, C♯)に決めるべきだとわかる。C♭ major, G♭ major, D♭ majorはそれぞれB major, F♯ major, C♯ majorが同主短調の存在する異名同音調となる。また、G♯ minor, D♯ minor, A♯ minorはそれぞれE♭ minor, B♭ minor, F minorが同主長調の存在する異名同音調となる。
調の主音のノート番号がとして、
と定めることで、調のキー番号をの範囲で決定できる。