数列の内包的記法について
公理的集合論についてほとんどなにも知らないからこれから書くことは間違っているのかもしれないけど、古典的なクラスや集合の記法は公理的集合論の元では複数の公理に対応していると理解している。ZF公理系の分出公理に対応する記法として
というような記法が考えられる。これがふつうは内包的記法と呼ばれているんだけど、別の置換公理に根拠を持つ記法も考えられて、
のような書き方ができる。この両者を内包的記法と呼ぶのは紛らわしいから、分出公理に基づく記法を分出記法、置換公理に基づく記法を置換記法を置換記法と呼ぶことにする。(は命題であると考えれば、命題が左側に来る分出記法は元来のクラスの記法のルールを破っているように思えるが、左辺に来るは分出記法の一部として扱われる。それと同様に、置換記法の右辺に来るも命題ではなく、置換記法の一部として扱われる。)
ところで、数列があったとして、その数列の各項を2倍した数列をどう書けばいいだろうか。
まあふつうに
でもよいのだが、内包的記法のように、簡単に書きたい。Pythonであれば、
a = [1, 2, 3] b = [2*x for x in a]
と書くのだから、数式でも
とするかとも思うが、しかし、というのは気持ちが悪いと言うか、aは数列であり、数列は写像なのだから、と書いたときのxは、aの数列としての項ではなくaの集合としての元であり、aの集合としての元とは添え字と項のペアであるのでは、という気持ちがある。そうすると
と書くのか。ここまでするのなら、いっそ
と書いてしまって、ふつうに集合の置換記法で書いてしまってもいい気がする。しかし、操作したいのは数列なのに、これでは数列を表す写像を表す集合を操作していることになってしまう。の気持ち悪さが問題であれば、矢印にしてしまって
でもいいかなあ。わかりづらいか。